過去日記 PART?

2001年5月2日

かくして、私達は付き合う事になったが、いかんせん、学校も違うし、お互いに部活もやってたし、たまにしかデートは出来なかった。
お陰で、電話では良く話した。
ある時は、夜の10時から朝の5時まで喋っていた事もある。
途中、掛け直したり、トイレタイムを取ったりして・・・
今思えば、何をそんなに話していたのだろう・・・

電話口で私は良く泣いていた。
そんな私の事を龍司は

「言いたい事の言えない泣き虫」と言っていた。
(今でも「言いたい事が言えない」私です。泣き虫では無くなったけど・・・)

付き合い始めてまだ間もない頃のデートの時に、龍司は私を埠頭へと連れて行った。
そこで、前に付き合っていた彼女の話をし出した。

「何時ものデートコースを歩いていて、途中の交差点で、子供が車にはねられる事故を目撃した。慌てて子供に掛けより、見真似で脈を採ってみたが、『滅茶苦茶で判らない』ダメかもしれないと思った。子供が救急車で運ばれるのを見届けてから、俺達は歩き出したけど、彼女の方がショックでずっと泣き止まなかった。そして、この埠頭に着いた時、彼女を抱きしめて初めてキスをしたんだ・・・」

龍司は遠い目をして話した。

『何故、私にそんな話を聞かせるのか?どうして私をここに連れてきたのか?』

答えは簡単である。
龍司はまだ彼女の事を好きだから・・・

彼女は転校してしまい、文通を続けていたが、そのまま自然消滅になってしまったのだと言う。

何時もの長電話の中でも龍司は私の事を「まだ妹の様にしか思えない」と言っていた。
私はそれでも構わなかった。彼の側に居れるのなら・・・

ある時「お前にとって俺はどんな存在?」と電話で聞かれた事がある。

「一番大切な人よ。ずっと側に居て欲しい人」私は迷いもなく答えた。

「聞いたこっちが恥ずかしくなるよ。でも、うれしいよ、ありがとう」

龍司はしきりに照れながら答えた。

しかし、私のこの気持ちは既に片想いだったのだろう・・・

数少ないデートの中で一番記憶に残って居るのは、「潮祭り」である。
今でも小樽の夏祭りとして、埠頭や水上花火大会が有名だが、その当時はもっと山の方の小樽公園で行われていた。
市営球場の近くで、私の家からも比較的近い。
球場で待ち合わせて、花火大会を見る事にした。

人混みの中、龍司は私の手をひいてくれた。
お恥ずかしい話だが、男の人と手を繋いだのは初めてだった。
彼の手は凄く大きくてごつかった。

『キャッチャーの手だな〜』そんな事を考えて胸のドキドキを抑えていた。

「ちっちゃい手だな〜ちゃんと握れよ」

「だって、届かないんだもん」

ラブラブなカップル(笑)だった。
クラスメートに目撃されていて、次の日学校で冷やかされたり・・・
この時が一番幸せだったかもしれない・・・

そう・・・
夏の大会も終り、新チームが結成された後、龍司とデートをした時、彼は湿布の匂いをさせて私の前に現れた。
「これから病院に行くから付き合って」と言う事で、その日のデートは始まった。
今思えば、この当たりから、龍司の表情が暗くなってきたような気がする。
「妹としか思われていない」と言う自分の切ない気持ちで精一杯で、彼の変化に気が付いていなかったと思う。

診察を終えて龍司は話し出した。

「またレギュラーになれなかったよ。この腰のせいで・・・」

椎間板ヘルニアだそうだ。
それでも、部員数の多いあの高校の野球部で、一年生ながらベンチ入りのメンバーに入り、新チームではレギュラー間違い無しのはずだったのだ。
野球一筋の彼にとってはショックな出来事だったのだろう。
ポジション的にも、腰への負担はかなりのものだ。
これから先の不安もあったに違いない。
でも、その時の私はありきたりな慰めの言葉しか言えなかったと思う。

その日のデートで龍司は寂しそうに私にこう聞いた。

「お前は、野球をやってる俺を好きになったんだろう?」と・・・

私が野球好きなのを龍司は良く知っていた。
私は

「確かに、始めは野球をやってる龍司に惹かれたよ。でも今は違うよ」

私の必死の言葉に彼はただ寂しく笑うだけだった。

それと同時に、もう一つ。
彼の両親が離婚をするかもしれないと言う問題も起こっていた。

自分の事と、両親の事。
彼の心の中はどんなに乱れていただろう・・・
でも、その時の私には、15歳の中学生の私には、何も出来なかった。

徐々に彼からの電話は来なくなり、私から掛けても居留守を使われる事が多くなって行った・・・

〜つづく〜

★★★今日の夕食★★★
ずわい蟹のシューマイ
野菜と炒める牛カルビ
アサリのお味噌汁

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